「1人情シス」という言葉は2026年現在でも耳にします。
1人情シスの当事者は「なんでこんなにたくさん業務があるんだ」と頭を悩ませていることでしょう。
一方で、複数人でIT部門を担当し、さらにはセキュリティ担当、ネットワーク担当のように担当が分かれている担当者からすれば「本当にこんなに業務できるのか?」と思うのではないでしょうか。
本記事では1人情シスが担う業務内容について解説します。
「毎日こればっかりやっている」業務もあれば「やらなければならないことはわかっているけど、なかなか手が回らない」業務まで幅広く扱っています。
1人情シスの業務が多くなりやすい理由
1人情シスは、担当する業務の範囲が非常に広くなりやすい傾向があります。
その理由として、社内にITに詳しい担当者が1人しかいないためです。
例えば、PCのトラブル対応やネットワーク管理、社内システムの運用など、本来であれば複数の担当者で分担する業務を1人で対応するケースも珍しくありません。
さらに、ITに関する相談は部署を問わず寄せられるため、「パソコンに関することならとりあえず情シスのあいつに聞く」という状況になりやすいのも特徴です。
また、IT以外でも「パソコンやシステムに関係していそう」という理由で、Excelの操作方法や会議室のモニター設定などを依頼されることもあります。
このように、社内でITに関する窓口が1人しかいない場合、さまざまな業務が集中しやすく、結果として1人情シスの業務範囲は広がりやすくなるのです。
1人情シスの業務内容
1人情シスの業務内容として以下があります。
ヘルプデスク(問い合わせ対応)
1人情シスの業務の中でも、最も頻繁に発生するのがヘルプデスク対応です。
社員からのITに関する問い合わせやトラブルに対応し、業務が滞らないようサポートします。
代表的な問い合わせ内容としては、以下のようなものがあります。
どれも「あるある」と唸ってしまいそうな内容です。
「どんなエラーが出ているのか」「何をしている場面で起こってしまったのか」「解消後どんな状態を期待しているのか」などを伝えてくれれば良いのに、と思ったことがあるのではないでしょうか。
このようなトラブルは日常的に発生するため、1人情シスは他の作業をしていても対応に追われることが少なくありません。
また、単純な操作方法の質問からシステム障害まで幅広い内容が寄せられるため、ITに関する総合的な知識が求められます。
ヘルプデスク業務は社員の業務効率にも直結するため、1人情シスの重要な役割となっています。
PC・IT機器の管理
1人情シスは、社員が日常業務で利用するPCやIT機器の管理も担当します。
社員が快適に業務を行えるよう、機器の準備や設定、トラブル対応などを行います。
対応内容には以下のようなものがあります。
「キッティングの台数が多すぎる」「せめて課長が管理していてくれ」「説明書を見ればわかるだろ!」と言いたくなるものばかりですね。
しかも社員同士で勝手にPCを入れ替えたり、「ディスプレイをあっちの席に移動して使っていました!」と悪気なく事後報告してきたりします。
特に新入社員の入社時やPCの入れ替え時には、短期間で複数台のPCを準備する必要があり、作業負荷が大きくなることもあります。
また、PCだけでなくスマートフォンやタブレットなどのモバイル端末を管理するケースも増えており、1人情シスが担当するIT機器の範囲は広いです。
アカウント・ID管理
1人情シスは、社員が社内システムやクラウドサービスを利用するためのアカウント・ID管理も担当します。
社員ごとに適切な権限を設定し、安全にシステムを利用できるよう管理することが重要な役割です。
主な業務には以下のようなものがあります。
「自分のパスワードくらい忘れずに管理してくれ」「同じ名前の人が入ってきちゃった・・・」など、ここでも頭を抱えた経験をお持ちの方は多いのではないでしょうか。
そして、こちらも特に入社や退職のタイミングでは、アカウントの作成や削除、権限変更などの対応が集中します。
ただし、退職者のアカウントを適切に停止せず放置してしまうと、情報漏えいのリスクにつながる可能性もあります。また最小権限の原則を守るため、アクセス権限にも適切な管理が必要です。このようにアカウント・ID管理はセキュリティの観点からも重要な業務といえます。
社内システムの運用
社内で利用している業務システムの運用も、1人情シスの重要な業務の一つです。
システムが安定して稼働するよう管理し、社員が日常業務で問題なく利用できる環境を維持します。
企業で利用する社内システムの主な例として以下があります。
「こんなの一つ一つわかるわけないだろ・・・」1人情シスの方でも、そうでない方でもそう言いたくなりますね。もちろん他にも様々なサービスが混在していたり、連携していたりと使っている本人たちですら何もわからないこともあるあるです。
それでも1人情シスは、ユーザー登録や権限設定といった日常的な管理に加え、システムトラブルが発生した際の対応も行います。
また、障害が発生した場合にはベンダーに問い合わせて原因を確認したり、復旧対応を進めたりする役割を担うこともあるでしょう。
このように社内システムの運用は、企業の業務を支える重要な基盤を維持する仕事もあり、1人情シスだけで担当している会社が実在します。
ネットワーク管理
社内ネットワークの管理も、1人情シスが担当することの多い業務です。
社員がインターネットや社内システムを問題なく利用できるよう、ネットワーク環境を維持・管理します。
主な業務として以下のようなものがあります。
例えば「急にインターネットが遅くなった」「Wi-Fiにつながらない」といった問い合わせがあった場合には、原因を調査して復旧対応を行います。
1人情シスとしては「またつながらないのかよ・・」「みんなで使うんだから遅くなるタイミングがあってもおかしくないよ・・」と言いたくなりますね。
ネットワークは社内の業務基盤ともいえる存在です。
トラブルが発生すると多くの社員の業務が止まってしまう可能性があるため、安定して利用できる状態を維持することが重要になります。
セキュリティ対策
1人情シスは、社内の情報資産を守るためのセキュリティ対策も担当します。サイバー攻撃や情報漏えいのリスクを抑えるため、さまざまな対策をしなければなりません。
主な業務には以下のようなものがあります。
最近ではランサムウェアやフィッシング詐欺など、企業を狙ったサイバー攻撃も増えています。
そのため、技術的な対策だけでなく、社員へのセキュリティ教育や注意喚起を行うことも重要な業務の一つです。
特にフィッシングメールやポップアップによる詐欺の問い合わせが来ると「自社の問い合わせだけでも大変なのに外部の攻撃者が余計な仕事を増やしてくれやがって・・・」と匙を投げたくなります。それでも自社を守るためにやらないといけないので大変ですね。
セキュリティ対策は目に見えにくい業務ですが、企業の情報を守るうえで欠かせない役割となっています。
IT導入・システム選定
企業の業務効率化やDX推進のために、新しいITツールやシステムを導入する際の検討や選定も、1人情シスが担当することがあります。
例えば、以下のツールの導入を検討します。
「ツールを増やすと問い合わせの量も増えるし、必要な知識量も増えてしまうじゃないか・・」「そもそも導入に到達するまでのハードルが高すぎる・・」このように考えてしまい、腰が重くなりがちです。
しかし、1人情シスは、これらのツールについて情報収集を行い、複数のサービスを比較したうえで自社に適したものを選定します。また、ベンダーから見積もりを取得したり、機能や費用を社内に説明したりする役割も担うこともあります。
そして導入が決定した後は、お決まりの初期設定や社内への利用方法の説明、運用ルールの整備などを行うことも少なくありません。
1人情シスにとって、IT導入・システム選定は企業の業務効率や働き方にも影響する重要な業務の一つとなります。
IT戦略・予算管理
1人情シスは、日々の運用業務だけでなく、企業のIT投資やシステム更新に関する計画を考える役割を担うこともあります。
例として以下の計画です。
上記のようにITに関するコストを見据えた計画を立てる必要があります。これらを適切に管理しないと、突然大きな出費が発生してしまう可能性もあります。
対応が遅くなると、現場からは不満の声が上がるだけでなく、経営層からも「お前の対応が遅いから機会損失になったじゃないか」という話にもなりえます。
それでも1人情シスは、ITツールやクラウドサービスを導入する際に、導入費用だけでなく運用コストや将来的な拡張性なども考慮しながら判断することになるでしょう。なぜならその会社の中には1人情シスの人以外に、全体像を見据えた計画をできる人がいないからです。
企業規模によってはIT戦略を専門に担当する部署がない場合も多く、そのような企業では1人情シスがIT環境の将来を見据えた計画を考える役割を担うことになります。
まとめ-1人情シスの業務量が多すぎる!
1人情シスは、社内のITに関するさまざまな業務を担当する重要な役割です。
ヘルプデスク対応やPC・IT機器の管理、アカウント管理、社内システムの運用など、日常的なITサポートを幅広く担います。
さらに、ネットワーク管理やセキュリティ対策、ITツールの導入やシステム選定など、企業のIT環境を維持・改善するための業務も担当することが少なくありません。企業によっては、IT戦略や予算管理といった中長期的な計画に関わる場合もあります。
正直、1人情シスのあなたは「なんで自分がこんなことまで・・」と思う業務までやっていることでしょう。逆に1人情シスでない担当者としては「よくもこんな量の業務をこなせるな」と感じるはずです。
1人情シスは社内のITを支える中心的な存在であり、担当する業務範囲は非常に広くなりがちです。
そのため、日々の運用を安定させるだけでなく、業務の効率化やIT環境の改善を少しずつ進めていくことが重要といえるでしょう。
本記事で紹介した業務内容を理解することで、1人情シスの役割や責任の大きさがイメージしやすくなったのではないでしょうか。
今後も1人情シスの実情や、業務改善に繋がるコンテンツを作成していきますので、楽しみにしていてください。