1人情シス エンジニア

1人情シスのネットワーク監視とは?少人数でも実践できる監視体制を解説

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「ネットワークが遅いじゃないか」「VPNが切れる」「Wi-Fiが不安定で仕事にならない!」

1人情シスでは、このようなネットワーク関連の問い合わせ対応に追われることも少なくありません。

しかし事象を紐解くと、以下の原因による問い合わせが中心です。

ネットワーク関連の問い合わせがくる原因

  • どこで問題が起きているのか分からない
  • ユーザーからの問い合わせで初めて障害に気づく
  • FirewallやVPN機器の状態を把握できていない
  • サーバー側なのかネットワーク側なのか切り分けできない

特に近年は、クラウド利用前提、リモートワークの浸透、ゼロトラスト化などにより、ネットワークの重要性が以前より大きく高まっています。

そのため、1人情シスでも「ネットワーク監視」は重要です。

専任の監視担当がいるわけではないため、以下の対応は現実的ではないでしょう。

1人情シスの現実的ではないネットワーク監視体制

  • 全機器を細かく監視する
  • 24時間365日対応する
  • 大規模な監視基盤を構築する

そこで本記事では、1人情シス向けに、ネットワーク監視が必要な理由や最低限監視したいポイントなど、現実的なネットワーク体制を実現するために必要なことをお伝えします。

ネットワーク監視が必要な理由なのはネットワーク障害は業務影響が大きいから

「そもそもなぜネットワーク監視が必要なのか?」

その答えは「ネットワーク障害の業務影響が大きいから」です。

ネットワーク障害は「つながっているけど遅い」「システムが使えない」「仕事にならない」
このような状況につながってしまいます。

具体的な理由について解説します。

クラウド利用増加でネットワーク依存度が高まっている

以前は、社内サーバーやオンプレミス環境を中心に利用している企業も多く、「サーバーが動いているか」が重要でした。

しかし現在は、SaaS(勤怠管理、クラウドストレージ、リモート会議など)やセキュリティサービスなどネットワーク接続が前提のサービスが増えています。

そのため、サーバーが正常でも、ネットワーク障害によって以下の障害につながります。

ネットワーク障害で発生する事象

  • 回線品質低下
  • DNS障害
  • VPN不調
  • ISP障害

これらは業務へ大きな影響が出るケースもあるでしょう。

特にリモートワーク環境では、VPNやクラウド接続品質が業務効率へ直結します。

現在は「サーバー監視だけしていれば安心」という時代ではなく、ネットワーク品質そのものを監視する重要性が高まっています。

監視がないと気づくのが遅れる

1人情シスの体制では、専任の監視担当がいるわけではありません。

そのため、以下のタイミングで障害が発生するとすぐに気がつけないケースがあります。

1人情シスが障害発生しても気がつけないケース

  • 会議中
  • 別案件対応中
  • 外出中
  • 休暇中

実際には、ユーザー問い合わせで初めて知る、朝出社して障害に気づくなど、時間が経ってから気がつくことも珍しくありません。

ネットワーク障害は、「誰かが気づくまで分からない」状態になりやすいのが特徴があります。

監視を導入することで、以下を自動検知できるようになり、初動対応を早めやすくなります。

自動検知できるようになるネットワーク障害

  • 回線断
  • VPN停止
  • Firewall停止
  • 通信異常

「遅い」問題の原因切り分けが難しい

ネットワーク関連の問い合わせでは、「重い」「遅い」という曖昧な表現になりやすい傾向があります。

しかし実際には、以下のように原因の候補は多岐にわたります。

ネットワークが「重い」「遅い」場合の原因

  • 回線逼迫
  • Wi-Fi干渉
  • DNS遅延
  • Firewall負荷
  • VPN負荷
  • ISP障害
  • クラウド側問題

また、サーバー側に問題があるように見えて、実際にはネットワーク側が原因だったというケースもあるでしょう。

例えば、CPUやメモリが正常でもパケットロスや高遅延によって「アプリが重い」ように見えることがあります。

監視がない状態では、毎回ゼロから調査する必要があり、障害対応が長期化しやすいです。

そのため、帯域・遅延・パケットロスなどを継続的に可視化することが重要となります。

属人化を減らしやすくなる

1人情シスでは、経験や勘に頼った運用になりやすい傾向があります。

例えば、以下の感覚を覚えたら「何かあるかもしれない」と判断できるのではないでしょうか。

違和感を覚えるタイミング

  • 「なんとなく今日は重い気がする」
  • 「この時間帯は遅くなりやすい」
  • 「この機器はたまに不安定になる」

もちろん経験は重要ですが、上記のように感覚に頼ることは属人化に他なりません。
属人化が進むと、以下の問題につながります。

属人化が進んだ場合の問題点

  • 引き継ぎしづらい
  • 障害分析できない
  • 原因が記録に残らない
  • 他メンバーが対応できない

監視によって、「いつ」「どこで」問題があったのか、「どのように」影響しているのかを可視化すると、運用整理がしやすくなります。

また、ネットワーク構成図や監視対象一覧を整備することで、「自分しか分からない状態」を減らしやすくなる点もメリットです。

サーバー監視とネットワーク監視の違い

「サーバー監視をしているから大丈夫」と考えてしまうケースがありますが、実際にはサーバー監視とネットワーク監視では役割が異なります。

特に現在は、クラウド利用やリモートワークなど、ネットワーク品質そのものが業務へ大きく影響する時代になっています。

そのため、サーバー監視だけでは原因を特定できないケースも増えています。

ここでは、サーバー監視とネットワーク監視の違いについて整理します。

なお、サーバー監視については別記事で解説していますので、併せてご覧ください。

サーバー監視は「システム内部」を確認する

サーバー監視では、主にサーバー内部の状態を監視します。

代表的な監視項目としては、以下があります。

サーバー監視の代表的な項目

  • CPU使用率
  • メモリ使用率
  • ディスク容量
  • プロセス状態
  • サービス起動状況
  • OSログ
  • アプリケーションログ

などがあります。

これにより、メモリ不足やディスク溢れなど、プロセス停止などを検知できるようになります。

つまり、サーバー監視は「サーバー自身が正常に動作しているか」「プロセスが動いているのか」を確認するための監視です。

ネットワーク監視は「通信経路」を確認する

一方、ネットワーク監視では、通信経路やネットワーク機器の状態を監視します。

代表的な監視対象としては、以下があります。

ネットワーク監視の対象

機器

  • ファイアウォール
  • ルーター
  • スイッチ
  • VPN
  • インターネット回線

監視項目例

  • Ping応答
  • 帯域使用率
  • 遅延
  • パケットロス
  • VPN状態
  • 通信量

    などがあります。

    ネットワーク監視では、「通信が正常に行えるか」を確認するのが主な目的です。

    サーバー正常でもネットワーク側に問題があるケースは多い

    実際の障害対応では、CPUやメモリなど、サーバー監視における項目は問題ないにもかかわらず、「Webが遅い」「SaaSにつながらない」などのケースがあります。

    この場合、原因はサーバーではなく、以下のようにネットワーク側に問題がある可能性があります。

    原因として考えられる要因

    • 回線逼迫
    • DNS遅延
    • ISP障害
    • Wi-Fi干渉
    • パケットロス

    特にクラウドサービス利用時は、「サーバーよりネットワーク品質のほうが重要」という場面も増えています。

    サーバー監視とネットワーク監視はセットで考える

    サーバー監視とネットワーク監視は、どちらか一方だけでは不十分です。

    例えば、以下のように切り分けで役割が異なります。

    症状サーバー監視ネットワーク監視
    Webシステムが重いCPU・メモリ確認帯域・遅延確認
    VPN切断認証ログ確認トンネル状態確認
    SaaS接続不安定VM状態確認Internet品質確認
    ファイル共有遅延SMBプロセス確認回線使用率確認

    障害切り分けをスムーズに行うためには、サーバー、ネットワークの両方を組み合わせて監視することが重要です。

    1人情シスが最低限監視したい項目

    1人情シスでは、最初から全機器・全ログを細かく監視するにはあまりに負担が高く、現実的ではありません。

    そのため、まずは「止まると業務影響が大きいもの」から優先的に監視することが重要です。

    ここでは、1人情シスでも最低限押さえておきたい監視項目を、優先度順に紹介します。

    死活監視

    まず最優先なのは、「重要機器が止まっていないか」を確認する死活監視です。

    例えば、以下の機器について死活監視を行います。

    死活監視すべき対象

    • ファイアウォール
    • VPN装置
    • ルーター
    • コアスイッチ
    • インターネット回線

    上記は停止すると、全社影響につながるケースがあります。

    監視方法としては、以下が代表的です。

    死活監視の代表的な方法

    • Ping監視
    • TCPポート監視
    • HTTP監視

    まずは「止まったことに気づける状態」を作るだけでも、障害対応は大きく改善します。

    帯域・遅延監視

    「ネットが遅い」という問い合わせ対応では、帯域や通信品質の確認が重要になります。

    例えば、以下は回線の利用率が高くなり、通信状況が悪化するケースがあります。

    通信状況が悪化するケース

    • Windows Update集中
    • Web会議増加
    • クラウド同期
    • VPN逼迫

    そのため、以下を確認することで、原因切り分けに対処しやすくなります。

    帯域・遅延監視の項目

    • 帯域使用率
    • RTT(応答時間)
    • パケットロス

    特にクラウド利用が多い環境では、重要度が高い監視項目です。

    VPN・認証系ログ監視

    近年はリモートワークやクラウド利用増加により、VPNや認証系の重要度が高まっています。

    例えば、以下の不正アクセス兆候に気がつけるようにすべきです。

    不正アクセスの兆候

    • VPN接続失敗急増
    • 深夜帯アクセス
    • 海外IPからの接続
    • MFA拒否連打

    そのため、VPNやファイアウォール、認証失敗ログについては確認できる状態を作っておきましょう。

    1人情シスでありがちなネットワーク監視の失敗

    「1人情シスでもネットワーク監視が必要なことはよくわかった!」と早速取りかかろうとするあなたへ。

    失敗パターンを事前に知っておくことで、無理なく監視できる体制を整えることができます。

    ぜひ以下のパターンを知り、避けられるように体制を組んでください。

    監視対象を増やしすぎる

    最初から全機器を監視すると運用が崩壊しやすくなります。

    まずは、止まってしまうと影響が大きい機器や、止まってしまったこと自体に気がつける項目を優先に確認しましょう。

    アラート通知が多すぎる

    通知が多すぎると、「どうせまた大したものではないだろう」と通知を見なくなる、重要アラートを見逃すといった自体になりかねません。

    アラートについても本当に止まると困るもののみに絞って設定することが重要です。

    Ping監視だけで安心してしまう

    Ping応答があっても、帯域の逼迫や片系障害などが発生している可能性があります。

    「疎通している = 正常」ではありませんので、ご注意ください。

    ネットワーク構成を把握できていない

    監視以前に、以下が整理されていないケースがあります。

    ネットワーク構成について整理すべき台帳・資料

    • ネットワーク構成図
    • IPアドレス管理
    • 回線一覧
    • VPN接続先

    まずは「見える化」し、把握することが重要です。

    まとめ|それでも1人情シスでネットワーク監視に限界を感じるなら

    1人情シスでは、さまざまな業務を担当することになりますが、近年のトレンドからネットワーク監視の重要度が高まっています。

    そのため、以下のように感じることもあるでしょう。

    • 「監視アラート対応だけで1日が終わる、、」
    • 「ネットワークもセキュリティも全部見るのが厳しい、、」
    • 「障害対応が属人化している」
    • 「24時間365日対応に近い状態になっている」

    ネットワーク監視は重要ですが、「全部を完璧に見る」ことは現実的ではありません。

    まずは、以下のようにできることから始めていきましょう。

    ネットワーク監視において優先して取り組むべきこと

    • 業務影響が大きい箇所を優先する
    • 障害を早く検知する
    • 切り分けをしやすくする
    • 自分しか分からない状態を減らす

    それでも限界を感じる場合は、個人の努力だけで解決できない「1人情シスという体制自体の課題」があるかもしれません。

    その場合は、以下の記事も参考にしてみてください。

    -1人情シス, エンジニア